豊胸体験談

性同一障害として生まれて-01-

27才 独身

リオンさん 神奈川県在住

私は性同一性障害(MTF)として生まれてきました。

性同一性障害(MTF)とは自分の生まれ持った身体の性と心の性が一致しないことです。

豊胸手術に至るまでの私

私が初めて好きになったのは男の子でした。

東京生まれ東京育ちの私は性の違和感を最初に覚えたのは幼稚園のころでした。

幼稚園で初めて好きになった子は運動が得意で優しい男の子でした。

小学生の高学年から裸になるのが嫌に

小学生高学年から男女の着替えが別れるようになったことも、水着の着替えやプールの授業など裸になるのが嫌でした。

周りの友達が隠れて初めてブラジャーをつけてきたなど、学校の女の子の胸元が少しふくらんでいるのを目の前にして、羨ましいなとも思うようにもなりました。

次第に男の子の友達とは何を話したらいいのか、何で遊んだらいいのかもわからなくなり小学生の頃は女の子とばかり遊んでいました。

中学校では女の子の制服にあこがれた

中学生にあがると学生服を着なくてはいけなくなり、女の子の来ているスカートや制服が羨ましくなり自分の恰好が嫌になりました。

中学生でも背の高いバスケ部の屈託なく笑う男の子が好きになりましたが、男の子を好きになることは気持ち悪がられる気がして誰にも相談できずにいました。

しかし私は自分が性同一性障害(MTF)だとは気づきませんでした。

というよりそのような障害の事など当時の私は知らなかったのです。

高校生になりネットで悩みを打ち明ける

高校生のころ親にも友達にも相談できない男の子が好きだという自分の気持ちを、インターネット上の匿名を利用して打ち明けてみることにしました。

匿名であれば気持ち悪がられたりしなくてすむと思ったからです。

そこから私は障害の事を初めて知り自分が性同一性障害(MTF)だということも初めて知ったのです。

次第に私の意識は女性らしくなりたいということに囚われるようになり、それは言葉遣い服装や髪型だけにとどまらず、女性の象徴ともいえるような胸が羨ましく思うようになりました。

初めての豊胸手術は18歳の時

18歳の時に豊胸手術をしましたが、大きさに満足がいかず23歳の時にもう一度豊胸手術をしました。

豊胸手術をして後悔していることは、一度ではなく二度自分の体にメスをいれてしまったことです。

一番、最初は17歳の時にホルモン治療でのバストアップをはかりましたが、ホルモン治療だけではあってもAカップとBカップの間ぐらいで、自分の理想とするバストの大きさにはなれませんでした。

豊胸手術を決意したきっかけ

そのころ私は少しずつ夜の仕事に興味がわきはじめて、中でも特に胸を出す仕事に強く興味が出始めました。

女性を強くアピールできるそんな仕事に強い魅力を感じるようになり、自分を女としてアピールできる仕事で働きたいと思い、ホルモンだけでは成長しきれない自分のバストの限界と強く対面するようになりました。

そのときの選択肢として豊胸手術しかないのかと思ったのが、豊胸手術をしようと決めたきっかけでした。

性同一性障害に理解のあるクリニック探し

ネットや雑誌などを調べて性同一性障害(MTF)の手術に理解のあるクリニックに的を絞り、東京にあるクリニックで一度目の豊胸術を、二度目はまた違うクリニックですが同じ東京で施術を受けました。

カウンセリングでは実際の術法や大きさの希望などに焦点を合わせてお話をしました。

そもそも豊胸術にはシリコンバッグ抽入法、ヒアルロン酸、脂肪注入法と大まかに三種類ありますが、女性の豊胸では世界的に見てもシリコンバッグ抽入法が主流です。

バッグの大きさや形が豊富で、術後の完成形が予測しやすいという点が人気だからです。

女性向けの豊胸は男性に向いていない

しかし、男性の体つきをしている人にはシリコンバッグ抽入法は不向きです。

一つ目の理由はもともとバストが膨らんでいるわけではないので、バッグをいれるだけでスペースをつくることが難しい点です。

女性の場合は、バストの小さな人であっても多少なりとも山形が形成されているので、シリコンバッグをおさえることができます。

しかし、女性に比べて脂肪量が少なく筋肉量の多い男性では、皮膚の伸びが悪く、大きなバッグをおさめることができません。

女性では300cc以上のバッグをいれる人もいますが、男性では150ccがせいぜいだと考えられています。

無理に大きなシリコンバッグをいれてしまうと、皮膚にバッグの輪郭が浮き出てしまい、異物が入っていることが一目瞭然なため丸みを帯びた奇麗な形で維持するのも難しくなってしまいます。

シリコンバッグの抽入に筋肉を剥離する必要あり

シリコンバッグを抽入する際には筋肉を剥離する必要があります。

しかし、女性に比べて筋肉そのものが固いため剥離が容易ではありません。

術後の痛みも、女性に比べると圧倒的に強くなります。

組織を壊す範囲が広く、出血量が多いことも原因です。

また、脇からシリコンバッグを入れた場合、術後、腕の上げ下げをする際に、ひきつれを感じる可能性があります。これも、筋肉や組織の硬さが原因で女性と異なる点です。

ヒアルロン酸や脂肪の注入も難しい

ヒアルロン酸は注入をするだけで、すぐに効果を実感できる豊胸施術です。

しかし、シリコンバッグ豊胸法と同じく皮膚が伸びていないと、希望する量のヒアルロン酸を注入することができません。

無理に大量のヒアルロン酸を入れると、皮膚の伸びがよかった部分だけが出っ張るなど、美しい曲線を描くバストには程遠くなっております。

脂肪注入法は、脂肪吸引と脂肪注入という二つのステップが必要な施術ですが、女性の体になりたいと思いを募らせている人の場合、スレンダーな体型に憧れてダイエットしている人が多くいます。

そのため、余分な脂肪がなく、脂肪吸引するだけの脂肪が体についていないことがあるのです。

このように一般的な豊胸術はそもそも女性に施術することをベースに考えられているため、性転換を希望する人にとって最適とは言えませんでした。

またこれらのことは一般の人はもちろん、豊胸術をしている女性でさえほとんどの人は知りえないことです。

私が選んだ施術はシリコンバッグ豊胸

120万の手術費は自分の貯金と親に多少工面していただき、最初の施術はシリコンバッグ豊胸の大胸筋下で豊胸することにしました。

そもそもシロコンバッグの抽入位置は一つではなく複数あります。

大胸筋下、大胸筋筋膜下、乳腺下と三つある中で、最も抽入位置が体の中で深いのが大胸筋下になります。

シリコンバッグ豊胸のメリットとデメリット

この方法では体の深い層に注入されているため見た目や触った際にもシリコンバッグの存在がわかりにくいというメリットがあります。

そのため性同一性障害の私や痩せ型で皮下脂肪が薄い人には適していました。

しかしデメリットとして筋肉を剥がすため、術後の痛みが従来の方法より強く、術後暫く起き上がれないこともしばしば起きるそうです。

施術をうけた感想

実際の施術をうけた感想は第一に胸がとても硬いということでした。

なお胸に力をいれるとバッグがサイドに押し出されてしまうせいか、両サイドに胸が広がってしまい、女性らしい自然なバストとはお世辞にも言えませんでした。

また術後の痛みも想像以上で体に残った麻酔と胸の痛みで、ベッドからおりることもままなりませんでした。

また、150ccととても謙虚に入れたため、術後から時間が経つにつれ物足りないという気持ちは増していきました。

二度目の施術でFカップを目指す

そのため二度目の施術ではFカップぐらいまで大きくなれればなと思い再度尋ねました。

実際の手術は1,2時間ほどでおわり、入院も必要ありませんでした。

施術後は一度豊胸手術を経験しているのもあり、豊胸自体に怖いや緊張といった感情はそれほど湧きませんでしたが、なによりも驚いたのは術後の痛みの無さでした。

最初の手術では何日も起き上がることも寝ることさえできず、ベッドから起き上がるたびに傷口が痛み顔をゆがめていたのが本当に嘘のようでした。

施術後当日にはその足で立ち上がり帰ることができました。

もちろん全く痛みがないわけではありませんでしたが、それでも生活に支障がでないレベルで施術をしていただき大変驚きました。

豊胸手術を理解してくれた周囲人たち

最初の施術からずっと心配してくれていたのは母でしたが、施術後にまっさきに見てもらいよくなったね、きれいになったねと声をかけてもらいそれが何よりもうれしかったです。

母の姿に目頭が熱くなるおもい

私と同じくらい喜びながら目を拭う母のその姿に目頭が熱くなるおもいでした。

母には感謝しても感謝しきれません。

奇麗になりたいと思うことさえ許されてないような気がしていた私の、奇麗になりたいという思いを誰よりも肯定してもらい、奇麗になったことを誰よりも認めてもらい、まるで自分のことのように喜んでくれました。

友達も一緒に喜んでくれた

周りの友達も元の胸の大きさを知っていたので、術後のバストをみて良くなったねと喜んでくれました。

その姿を見てまた私も嬉しくなり、小さな幸せはまるで相互反応のようで胸が熱くなる思いでいっぱいでした。

心の病が原因での施術に至るということ

私のような心の病が原因での施術に至る子はそんなに多いわけではないと思いますし、実際に詐術まで踏み切らない子たちもたくさんいると思います。

身体と心にメスを入れるような心境

身体にメスをいれることはとても怖い事ですし、心にメスをいれることと本質的に何にも変わりません。

傷跡が自分にとって納得いかずに長い間放置してしまえばきっと傷口も化膿してしまうでしょう。

自分の行動は自分の意思に準じますが、世の中の性同一性障害(MTF)への理解や女の子の体になりたいという気持ちへの理解、それを限りなく現実に近づけてくれる病院の存在、先生の一言や、友達、家族の言葉の暖かさが、意思の後押しをとしてくれるような世の中になって、自分の体に満足がいかない女の子たちの灯りになってくれればいいなと思います。

リスクを冷静に判断するのは難しい

いっぽうで心の性と身体の性が一致しない女の子は、施術に対して身体的リスクや費用的リスクを冷静に判断できるとは少し難しいです。

それは今までの理不尽すぎる人生の心の痛みや苦しみから、逃れる明るすぎる光に自分の足元が見えなくなってしまうからです。

実際私も最初の施術前はなにを犠牲にしてでも、自慢のバストを手に入れようと、無我夢中な思いだったような気がしますしその気持ちは痛いほどわかります。

でもどうか一歩ひいて、客観的に落ち着いて考えられるようにしてみてください。

最後に伝えたいこと

私は母のたくさんの言葉に支えられなにより冷静になれた気がします。

実際に施術にくる子たちはごくごく一部です。

ほとんどの子はカウセリングにすら踏み切れないでしょう。

だからこそ踏み切れた子が後悔のない歩き方ができることを、私ごときですが願っております。

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